さくら酒店ではワインインポーターの方から、日本酒の取り扱いについてたくさんお問い合わせをいただきます。その中で特に多い質問が、日本酒の保存方法です。
ワインのプロフェッショナルであっても、「日本酒を、ワインと同じようにセラーで保管すればよいのでは?」と考えているのです。
日本酒を初めて取り扱う担当者には無理もないことですが、実は日本酒とワインでは保存方法が全く異なります。
せっかくの選りすぐりの日本酒も、間違った保存方法で、お客様に届く前に劣化してしまっては意味がありません。
だからこそ、私たちは日本酒の保存方法については、ゼロからしっかりお伝えをしております。より多くのワインインポーターの方に、しっかり日本酒の保存方法を知っていただくのが、私たち、さくら酒店の重要な役目の一つです。
この記事では、ワインを扱ってきたインポーター・ディストリビューターの方に向けて、日本酒の温度管理がなぜワインと根本的に違うのか、実務ではどの温度帯を守ればよいのかを整理します。
ワインの保存方法が日本酒に通用しない理由
ワインと日本酒は、同じ醸造酒でも「劣化に対する設計」がまったく違うお酒です。
ワインには、酸・タンニン・亜硫酸塩(SO2)という天然の保存料が備わっています。そのため、12〜15℃のセラーで長期熟成ができ、むしろ年月が価値を生みます。ヴィンテージという文化は、この保存性の上に成り立っています。
一方で、日本酒には、それにあたる機能がほとんどありません。
酸はワインの3分の1程度、タンニンはほぼゼロ、亜硫酸塩(SO2)も無添加です。繊細なうま味と香りがそのまま瓶に詰まっている状態で、熱に対して、ワインよりはるかに無防備です。
劣化のサインもワインとは異なります。高温にさらされた日本酒は、老香(ひねか)と呼ばれる紙や漬物を思わせる匂いが出て、フレッシュな香りが失われ、味の輪郭がぼやけていきます。
ブショネ(天然コルクが原因でワインが劣化する現象)のようなものではなく、保管温度に比例して劣化が進んでいきます。
また日本酒は、古酒を除いて、基本的にフレッシュなうちに飲むお酒で、多くの銘柄は製造から1年以内の消費が目安になります。
実務で守りたい温度帯の目安
では、具体的に何℃で保管すればよいのか。
さくら酒店では、マイナス5℃での管理を推奨しています。-5℃は日本酒が凍らないギリギリの温度であり、もっとも劣化を進行させない状態で日本酒を保存することができるためです。ただし現実的には難しいケースも多いため、-5℃〜+5℃の範囲での管理を、さくら酒店のお客様にはお願いしています。
「できるだけ日本で飲む日本酒の味を海外のお客様にも提供したい」という私たちの理念があるからです。
ワインセラーの12〜15℃は、日本酒にとっては高すぎる温度帯なのです。
そして、温度とあわせて徹底したいのが紫外線対策です。日本酒は直射日光はもちろん、店頭の蛍光灯でも「日光臭」と呼ばれる劣化臭が出ることがあります。ガラス越しの陳列棚に長期間置くのは避け、暗所または遮光を基本にしてください。
欧州のお客様の成功事例
さくら酒店のお客様で、ウィーンのインポーターである「SAKE no BA」様は、-5℃の氷温管理を徹底しています。作(Zaku)、伯楽星(Hakurakusei)、紀土(KID)といった銘柄が、日本の蔵で飲むのと変わらないコンディションで提供されており、取引蔵元の海外担当者も「ここの品質管理は海外でもトップクラス」と評価するほどです。
「マイナス5℃でしか出せないクオリティがある」ということを、私たちも現地で再認識しました。詳しくは『Case Study: Austria with Sake no Ba』にまとめています。
またドイツの取引先レストラン「Muke」でも、日本酒を-5℃で保存いただいており、3年前に入荷した日本酒も素晴らしいクオリティで提供されています。適切な低温管理を守っていただければ、日本酒は時間を経ても、お客様に満足いただける味わいをキープできるため、新規のインポーターやお取引先には、必ず温度管理の重要性をお伝えさせていただいております。
リーファー輸送の重要性
これから日本酒を扱う場合、大がかりな設備投資よりもまず、リーファーコンテナでの冷蔵便を使っての輸送が何よりも重要です。
ドライ(常温)コンテナの場合、輸送中のコンテナ内の温度は50℃を超えることもあります。これによる品質の毀損はとても大きいものです。そのため、さくら酒店では必ずリーファーコンテナを使って輸送することを条件に、お取引をさせていただいております。
輸送段階のコールドチェーン全体は『Maintaining the Cold Chain: Essential for Japanese Sake Quality』で詳しく解説しています。
コールドチェーンの徹底|さくら酒店の強み
さくら酒店は、日本から海外のお客様の倉庫まで、5℃以下のコールドチェーンを通すことを徹底しています。倉庫での-5℃保管、リーファーコンテナでの輸送、現地での冷蔵管理により、「蔵を出たときの味のまま届ける」ことを輸出ビジネスの土台に据えてきました。
ワインの物流網をお持ちのインポーターの方であれば、日本酒ビジネスでも大きな武器になります。今後必要となる「日本酒特有の温度設計」は、私たちがお手伝いします。
取り扱いをご検討の際は、仕入れの全体像をまとめた『Sake Wholesale: A Guide for International Buyers』『How to Import Japanese Sake: 9 Steps』もあわせてご覧ください。
一部例外(常温熟成を目的とした酒など)はありますが、基本的には冷蔵し、紫外線の当たらない場所で保管してください。
日本酒の保存には不向きですので、5℃以下の冷蔵庫をご用意ください。-5℃が最適な温度です。
法的な賞味期限表示はなく、製造年月や製造ロット番号が記載されます。目安として火入れ酒は製造から1年以内、生酒は極力早め(長くても3ヵ月以内)の消費をおすすめします。保管温度が低いほど(-5℃に近いほど)、美味しい期間は長くなります。
基本的にはフレッシュなうちに飲むお酒です。熟成酒(古酒)はありますが、蔵元やサービス提供者が意図した熟成であり、倉庫での放置は劣化にしかなりません。
リーファーコンテナの指定をおすすめします。ドライコンテナの場合、航路や季節によってはコンテナ内が50℃を超え、到着時点で品質が損なわれるケースがあるためです。さくら酒店では全てのお客様にリーファー輸送をお願いしています。
はい。市場テスト用のサンプル注文も承っています。輸送コスト等の実費はかかりますが、初回の市場検証にぜひご活用ください。
取引意向と販売市場をお伺いしたうえで、お客様のニーズに合わせたカスタム見積もりをご提供しています。
ワインのポートフォリオに日本酒を加えませんか?
さくら酒店は、創業以来日本酒の輸出を専門に手がけてきました。70+の蔵元と直接の取引関係を持ち、20+ヶ国と地域への輸出実績があります。
✓ -5℃〜5℃のコールドチェーンで「蔵の味のまま」お届け
✓ リーファーコンテナによる定温輸送の徹底
✓ 1本からのサンプル注文OK
✓ 英語対応の sake specialist が保管・オペレーション設計に伴走