海外で日本酒を取り扱う中で、近年人気が高まっているジャンルが、スパークリング日本酒です。
低アルコール志向、食前酒、若年層や女性層への訴求が重なり、欧米・アジアの市場で取扱が広がり続けており、さくら酒店でも、ここ数年でスパークリング日本酒のご注文が増えてきています。
スパークリング日本酒そのものの基礎や「飲んで楽しむ」視点は、別記事『Sparkling Sake Guide: The Best 5 Japanese Champagne』でご紹介しています。
本記事はその先、海外のインポーター・酒販店・飲食店が「仕入れて扱う」ための実務に絞ってまとめます。
スパークリング日本酒とは
スパークリング日本酒は炭酸ガスを含む発泡性タイプの日本酒です。
微発泡から強発泡まで、製法によって発泡の強さや酒質に幅があり、国税庁の分類で特別な区分があるわけではありませんが、市場では独立したジャンルとして認知されています。
仕入れの観点でまず押さえておきたいのは、「スパークリング日本酒」とひとくくりにできないということ。
製法によって価格帯も、味わいも、提供時の注意点もまったく異なります。ここを理解しておくと、客層に合った調達がしやすくなります。
製法の3タイプと仕入れ時の判断
スパークリング日本酒は、製法によって大きく3タイプに分かれます。発泡の質感・味わい・価格帯がそれぞれ異なるため、目的とお客様層に応じて使い分けるのが基本です。
① 瓶内二次発酵 ― 伝統的・本格派
シャンパーニュ方式と同じく、瓶詰め後に瓶内で再発酵させて炭酸ガスを生み出す製法です。発泡が自然で繊細、酵母由来の深いうま味が特徴です。
直近では新澤醸造店(宮城)の「あたごのまつ 瓶内二次発酵 Sparkling」が、アジア最大級の日本酒コンテスト・Oriental Sake Awards(OSA)2024で最優秀賞にあたる「Sake of the Year」を受賞するなど、品評会で評価される本格派も増えています。
② 活性にごり ― 生酒の発酵を活かす
醪(もろみ)を絞った直後の、酵母が活発な状態のお酒を瓶詰めし、瓶内でも発酵を続けさせる製法です。酵母の香りと自然な発泡が同居する、独自性の強いカテゴリー。
要冷蔵・開栓時の噴き出しに注意が必須で、3タイプの中でもっともオペレーション難易度が高いタイプです。
③ 炭酸ガス注入 ― 安定供給
通常の日本酒に後から炭酸ガスを吹き込む製法です。手軽で安定生産が可能、価格帯も比較的抑えやすく、フルーティーで低アルコール寄りに仕上げられることが多いタイプです。
低アルコール志向の若年層・女性層への入口商品として海外でも取扱が広がっています。
同じ炭酸ガス注入でも品質は幅広く、新澤醸造店の「愛宕の松 Sparkling」は OSA 2025 のスパークリング部門でシルバーを受賞しています。
度数と味わいの幅
スパークリング日本酒のアルコール度数は、おおむね5〜14%が一般的です。標準的な日本酒(15〜16%)より低い設計が多く、ライトな飲み口を演出します。
味わいの方向も、糖度を残した甘口から辛口・キレ重視まで、スパークリングワインと同様の幅があります。海外メニューに載せる際は、軽やか甘口(5〜8%)・中辛口(9〜11%)・辛口本格派(12〜14%)の3レンジを揃えて提示すると、お客様の好みに対応しやすくなります。
スパークリングワインとの違い
「スパークリング日本酒はシャンパンのようなお酒?」というのは、海外のお客様からよくいただくご質問です。見た目の華やかさは似ていますが、原料・製法・味わいの方向はまったく異なります。
最大の違いは原料です。スパークリングワインがブドウから造られるのに対し、スパークリング日本酒の原料は米。発酵の仕組みも異なり、ワインがブドウの糖をそのままアルコールに変える単発酵なのに対し、日本酒は米のデンプンを糖に変えながら同時に発酵させる並行複発酵で造られます。この複雑な発酵こそが、米由来のうま味を生む源です。
また味わいの方向も対照的で、スパークリングワインがブドウ由来の酸味と発泡で構成されるのに対し、スパークリング日本酒は米のうま味に発泡が重なる、ふくらみのある味わいに仕上がります。
そのため、スパークリング日本酒はチーズや洋食との相性もいいですが、寿司・天ぷらをはじめとする和食や、繊細な味わいの料理全般とのペアリングにもうってつけです。
海外バイヤーにとって、お客様に新鮮な驚きを与えるポイントであり、メニュー上の差別化要素にもなるはずです。
海外市場で広がる背景
海外で取扱が拡大している主な要因は3つです。
ひとつは低アルコール志向。欧米のウェルネス・低アルコールのトレンドに、スパークリング日本酒はよく合致します。
次に食前酒・記念日などで、シャンパンのような華やかさを持ちつつ独自性で差別化したい飲食店・小売店からの注文が増えています。
そして若年層・女性層への訴求。ボトルデザインの美しさ、撮影映えするビジュアルは、SNS時代の発信力を持つ商材でもあります。
仕入れ後の取り扱いポイント
海外で取り扱う際に押さえるべき実務を、特に重要な4点に絞って整理します。
温度管理
保管は常時冷蔵(5℃以下推奨、活性タイプは0〜5℃)、提供はよく冷やして(5〜10℃)が基本です。さくら酒店では、活性タイプを含むスパークリング日本酒はすべてコールドチェーン(-5℃〜5℃)で輸送し、品質を保ったままお届けすることを徹底しています。
開栓の注意
瓶内二次発酵・活性にごりタイプは開栓時に噴き出すリスクがあります。提供前に24時間以上、冷蔵庫で立てて落ち着かせてから開くのが基本です。布やすべり止めでキャップを包み、少しずつガスを逃がしながらゆっくり緩めると安全です。さくら酒店では、新規取り扱い時に提供スタッフへの教育も行っています。
提供時のグラス
発泡を持続させたいなら細身のフルートグラス、香りも楽しんでいただきたいならワイングラスと、料理に応じて使い分けるのが理想です。
在庫管理
スパークリング日本酒は通常の日本酒より回転を意識した在庫管理が必要です。瓶内二次発酵タイプや、炭酸ガス注入タイプの中には比較的、長く保存できるものもあります(いずれも要冷蔵が前提)が、長期在庫を持たない設計が重要です。
さくら酒店のスパークリング日本酒取扱
さくら酒店は、創業以来日本酒の輸出を専門に手がけ、70+の蔵元と直接の取引関係を持ち、20+ヶ国・地域への輸出実績があります。スパークリング日本酒についても、複数蔵元から取り揃えています。
特にOSA 2024で「Sake of the Year」を受賞した「あたごのまつ 瓶内二次発酵 Sparkling」(新澤醸造店)など、品評会で評価された銘柄もご紹介可能です。1,500+の商品ラインナップから市場・客層に合わせたセレクションをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
タイプにより異なります。もっとも短いのが活性にごりタイプで製造から3〜6か月が目安、瓶内二次発酵はそれより日持ちし、炭酸ガス注入タイプは1年程度保存できるものもあります。いずれも常時冷蔵が前提です。
さくら酒店では1本単位からのサンプル注文を承っています。まずお試しいただき、客層に合うものを見極めてから正式発注いただけます。
0〜5℃の温度帯を推奨します。常温に長く置くと劣化が進み、液漏れや開栓時の噴き出しのリスクが高まります。
はい。むしろ「日本酒の発泡性タイプ」として、和食レストランやワインバー・高級小売店での併売事例が増えています。
一部蔵元でノンアルコール・スパークリング日本酒風飲料が登場していますが、さくら酒店では現在お取り扱いがございません。
取引意向と販売市場をお伺いしたうえで、お客様のニーズに合わせたカスタム見積もりをご提供しています。
はい。蔵元との関係性を活かし、オリジナルラベルや独自配合の日本酒制作にも対応しています。
スパークリング日本酒をラインナップに加えませんか?
さくら酒店は、創業以来日本酒の輸出を専門に手がけてきました。70+の蔵元と直接の取引関係を持ち、20+ヶ国・地域への輸出実績があります。
✓ 瓶内二次発酵・活性にごり・炭酸ガス注入の全タイプを取扱
✓ OSA 2025 スパークリング部門 受賞銘柄もご紹介可能
✓ 1本からのサンプル注文OK
✓ コールドチェーン(-5℃〜5℃)対応
✓ 英語対応の sake specialist がラインナップの作成に伴走