ワインの世界では、環境に配慮した造りに取り組むワイナリーが年々増えてきています。オーガニック、ビオディナミ(農法)、カーボンフットプリントの開示。これらは、すでに「選ばれる理由」のひとつになっています。
一方で、日本酒の世界では、そのような取り組みはまだ始まったばかりです。
さくら酒店は10年以上にわたって日本酒の輸出に携わってきました。100年先の未来にもこの日本酒文化を残したい、そんなビジョンを掲げているさくら酒店にとって、サステナブルで世界に誇る味わいの日本酒を造ることは、長年にわたる願いでした。
その想いから生まれたのが「SAKE for 2126」というプロジェクトと、その第1号となる作(ZAKU) for 2126 純米大吟醸です。
この記事では、そもそもサステナブルな日本酒とは何を指すのか、そして作 for 2126 が実際に何をして、何をどこまで削減したのかを、数字とともにご説明します。
サステナブルな日本酒とは|「配慮している」と「測っている」は別物
「環境に配慮している」ことと「どれだけ環境に負荷をかけているかを測ること」は、まったく別のものです。
前者は根拠がなくても言えますが、後者は実際に費用をかけて計測する必要があるからです。
欧州をはじめとする海外のバイヤーやリテーラーが求めているのは、後者です。自社の調達基準に載せるためには、説明できる根拠が必要だからです。
そのため、さくら酒店ではサステナブルな日本酒を次のように考えています。
- 測っていること:造りの全工程で、温室効果ガスの排出量が数値化されている
- 減らしていること:測ったうえで、具体的にどこをどう変えたかが説明できる
- 味を落としていないこと:サステナビリティのために酒質を犠牲にしていない
特に3番目は重要なポイントです。ここを外してしまっては、結局、中長期的に選ばれる日本酒とは言えません。環境に良いから買う、ではなく、美味しいから買ったら環境にも良かった。その順番でなければ、100年続く商品にはできないと考えています。
サステナブルな日本酒を造ることが難しい理由
日本酒の世界では、品質を上げようとする行為そのものが、環境負荷を増やす方向に働きます。サステナブルな日本酒がなかなか生まれてこなかった理由の一つはここにあると考えています。
1. 磨くほど、米のロスが増える
日本酒は、米を削って(磨いて)造ります。純米大吟醸は米を半分以上削ることが条件のため、プレミアムな日本酒ほど、1本を造るために必要な米の量が増えるのです。
また使用する米の量が増えるということは、その米を育てた水田から発生するメタンの量も増えるということにもつながります。結果的に「高級酒を造ろう」とするほど、環境への負荷が大きくなるのです。
2. 品質を保つほど、電力を使う
さくら酒店は、日本酒の保管にマイナス5℃を推奨しています。日本酒が凍らないギリギリの温度で、品質をもっとも保てるためです。詳しくは『Why Sake Is Stored at -5°C』を参照してください。
しかし裏を返せば、一般的な冷蔵庫よりも電力を使うということでもあります。輸送も同じで、リーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)は通常のコンテナより多くのエネルギーを必要とします。
だからこそ、さくら酒店ではその分、サステナブルな日本酒づくりの必要性を感じているのです。
マイナス5℃のように、品質のために譲れない部分がはっきりしている以上、譲らずに減らせる場所がどこなのかを、正確に知る必要があります。だから、感覚ではなく測ることから始めました。
作 for 2126 純米大吟醸|540日かけて造った1本
「サステナブルで地球環境にやさしく、それでいて世界の美食家をも唸らせる日本酒を造りたい」
この構想に応えてくれたのが、世界酒蔵ランキング2019で第1位に輝いた蔵、清水清三郎商店です。銘柄「作(ZAKU)」の造り手として、国内外のコンペティションで数多くの受賞歴を持つ蔵元です。
プロジェクトの始動は2024年11月。そこから約1年半、540日をかけて商品化にたどり着きました。
作 for 2126 純米大吟醸が掲げているのは、3つのやさしさです。
- 体にやさしい:現代の食卓に合う、軽やかで飲み疲れしない設計
- 地球にやさしい:環境負荷を下げ、持続可能な酒造りへ
- 味に妥協しない:サステナビリティのために酒質を落とさない
前提:まず「どこでCO2が出ているのか」を測る
作 for 2126 では、第三者機関であるZevero社に依頼し、米の栽培から醸造・資材までの全工程で排出される温室効果ガスをCO2換算で測定し、カーボンフットプリントの可視化をしました。
Zevero は、AI技術とサステナビリティの専門知識を組み合わせて製品のCO2排出量を測定し、その削減を支援する「次世代サステナビリティパートナー」です。
測ってみて分かったのは、排出量の主な発生源が「米」と「瓶」だったことです。
ここが、サステナブル商品をつくる上での前提でもありますが、しっかりとした計測には費用がかかるため、サステナブル商品の一番のハードルと言えます。
米:中干し期間を延ばして、メタンを抑える
米作りに使われる水田の土壌からはメタンが発生します。メタンは、温室効果がCO2のおよそ25倍以上とされるガスです。
そこで、蔵元の地元の契約農家である神尾農園(三重県鈴鹿市)の協力のもと、水田の水を抜く「中干し(なかぼし)」の期間を2週間以上に延長しました。これにより、土壌から放出されるメタンを大きく抑えることができます。
ちなみに今回、使用したのは三重県固有の酒米「神の穂」です。
瓶:リユース瓶と、なくしたもの
もう一方の排出源は、瓶と資材です。
- リユース瓶の採用
- ノンVOCインク(揮発性有機化合物を含まないインク)でのラベル印刷
- 化粧箱・紙製パッケージの廃止
これらを組み合わせ、製品全体でおよそ30%のCO2削減を実現しました。
味は落とさない|13%という設計
作 for 2126 純米大吟醸は、アルコール度数13%で設計されています。
度数を抑えながらも、「作」らしい華やかな香りはそのままに、軽やかで飲み飽きない完成度を追求しました。日本酒マトリックスでいえば モダン・ライトに位置し、メロンやライチを思わせる香りに、みずみずしい甘みと爽やかな酸、ほのかな苦みが重なります。開けたてはフレッシュで引き締まった印象ですが、時間とともに丸みと甘みが帯びてきます。杜氏も納得の1本で、自信をもっておすすめできる味わいに仕上がりました。
提供温度は5℃前後、白ワイングラスでお楽しみいただくのがおすすめです。
日本酒の味わいの捉え方そのものは『What Does Sake Taste Like?』にまとめています。
軽やかな設計は、環境のためだけではありません。世界的に低アルコールの需要が伸びるなかで、13%という度数は飲みやすさとカラダへの負荷軽減にもつながっています。
100年後の乾杯のために
この商品のラベルには、製造年ではなく、未来の年号である「2126」が刻まれています。
いま日本の酒蔵は、米不足・人手不足・環境と市場の変化など、さまざまな課題に直面しています。このままでは、100年後の日本酒は、一部の人だけが楽しめる嗜好品になっているかもしれません。
作 for 2126 純米大吟醸は、そんな状況を打破し、未来へ日本酒文化をつないでいく「SAKE for 2126」プロジェクトの第1号です。蔵元、農家をはじめ、多くの方の理解と協力によって生まれました。
100年後も日本酒で乾杯できる未来へ、小さくとも確かな一歩だと考えています。
さくら酒店では、造りの全工程で温室効果ガスの排出量を測定していること、測ったうえで具体的に削減していること、そのために酒質を落としていないこと、の3つを満たすものと考えています。
従来の製法と比べて、およそ30%の削減です。第三者機関のZeveroが、米の栽培から醸造・資材までの全工程を測定し、CO2換算で可視化しています。
測定の結果、温室効果ガスの主な排出源が「米」と「瓶」であることが分かりました。米については契約農家と協力して中干しの期間を2週間以上に延長し、水田から出るメタンを抑制。瓶についてはリユース瓶とノンVOCインクを採用し、化粧箱と紙製パッケージを廃止しました。
業界全体での成功事例がほとんどないことと、しっかりとした計測にも費用がかかるため、ワインのようなサステナブル商品が生まれにくいのが実情です。
一般的にはそのような日本酒が多いです。しかし、作 for 2126は造り方によって味わいが落ちないことを示すことができました。「味に妥協しない」ことがプロジェクトの前提条件だったため、「サステナブル」と「おいしい」をしっかりと両立することができました。
はい。リーファーコンテナ/温度管理輸送に対応しています。プレミアム生酒など、温度管理が品質に直結する銘柄でも安心してご輸入いただけます。
はい。市場テスト用のサンプル注文も承っています。輸送コスト等の実費はかかりますが、初回の市場検証にぜひご活用ください。
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さくら酒店は、創業以来日本酒の輸出を専門に手がけてきました。70+の蔵元と直接の取引関係を持ち、20+ヶ国・地域への輸出実績があります。
✓ 第三者測定によるCO2データをご提供できます(調達基準・サステナビリティ報告にそのまま使えます)
✓ 1本からのサンプル注文OK
✓ -5℃〜5℃のコールドチェーンで「蔵の味のまま」お届け
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